あさひ丸
葦刈りから建造、そして大阪港航行までの写真集

Asahimaru - the world's largest reed ship.

2004年4月29日(みどりの日)放映の、大阪港の環境をテーマとした、朝日放送の特別番組「ガラスの地球を救えスペシャル2004『遊ぼう水と太陽と』」で、大阪港をクルーズする葦船が生中継されました。制作した葦船「あさひ丸」は、淀川水系のヨシを用いています。船体の大きさは14.3x4.6x1.7m、乾燥重量7.3tで、素材が葦の船としては、我々の知る限り人類史上最大です。あさひ丸は、帆柱や梶を備え、船検も受けており、法的にもれっきとした船舶です。カムナプロジェクト(※)が主催したこのプロジェクトにENOは協力し、葦刈り、建造、そして大阪港航行など全ての過程にボランティア参加しました。


西中島葦刈り 葦束
あさひ丸の葦は全て淀川水系のものです。鵜殿と西中島(一部は大淀野草区)で葦刈りを行い、北港ヨットハーバー隣の建造場所に800束ほど集められました。不足分は琵琶湖(安土町、西の湖)のものを用いています。産地によって品質は違いますが、船体にはそれぞれ適材適所で利用しました。

西中島
西中島の淀川河川敷での葦刈り終了後。参加者は、ENO、カムナプロジェクト、朝日放送、帆船あこがれウィンズクラブなど。葦刈りは2月頃から3月中旬まで行い、下旬からはあさひ丸の建造に入りました。

チョリソ作り チョリソ作り
チョリソを重ねる チョリソを重ねる
詳しい工程は割愛しますが、最初に小チョリソという長い葦の束を作る必要があります。

船骨

船骨

船の中心を走る船骨は、高山市の飛騨産業株式会社が、企業ボランティアとして制作したもの。4月8日に取り付けました。

ロープ取り付け

左右より、two-six heaveの掛け声でいっせいに引く

螺旋絞り工程で、らせん状に巻かれたロープをきつく締めます。このとき大勢で一斉に"two-six, heave"という帆船を展帆する時の掛け声で、ロープを左右から引きます。

完成
完成した葦船。大型の葦船としては、フトイの一種のトトラという植物で作ったマタランギ号の例はあるものの、実際の葦で作ったものとしては史上最大です。また、船骨を持った大型葦船としても史上初と考えられます。26日に、制作に関わった人々が集まり、住吉大社から神官を招いて、前日夕方に完成したばかりの葦船の進水式を行いました。船体はクレーンで慎重に吊り上げられ、苦労の末に海に降ろすことができした。そして臨時船検により、晴れて1日限りの小型船舶として認められました。後は番組における進水式を待つのみです。

進水 進水
進水 進水
陸海空からの朝日放送の中継の中、大阪北港ヨットハーバーのスタッフたちの協力により、無事進水式の様子が放送されました。定員は25名ほど。

シャンプーハット
人気お笑いコンビシャンプーハットと柴田アナ。シャンプーハットは海に落ちる演出でずぶ濡れになり、かなり寒そうに見えました。この写真では、帆に見立てた朝日放送の広告幕が張られています。風を受けている様子がわかります。

クルージング中のあさひ丸
クルージング中のあさひ丸。梶の効き具合も上々でした。

天保山へ向かう葦船
あさひ丸は、舞洲緑地沖を通り、天保山岸壁へ。


天保山岸壁にまもなく到着。バックは海遊館と観覧車。

柴田アナと記念撮影
天保山で、朝日放送の柴田アナウンサーと一緒に記念撮影。中央が柴田アナ、水色の上着に帽子は午前のクルーのENO牧村氏。上着で隠れている人もいますが、オレンジ色の制服の5人はウィンズクラブの人々。

天保山にて
昼の休憩中、海遊館隣の天保山岸壁にて。ここで昼食をとり、6割ほどのクルーが交代しました。一番手前の横向きに座っている人が冒険家の石川仁氏。一番奥のサングラスに赤い鉢巻の人はイースター島文化大使のテバ・テアオ氏。右寄り後ろの白い上着は午後のクルーのENO鈴木氏。


フィギュアヘッド
このフィギュアヘッドは、楠木でできた龍頭。京都府亀岡市の彫刻家進藤裕氏が、材料費のみで引き受けてくださった作品。

天保山離岸前
まもなく天保山を離岸。午後は天保山岸壁から出航後、なにわの海の時空館、南港野鳥園沖を通り、南港のオズ岸壁まで。海岸や"なにわの海の時空間"から手を振る人々も見えました。ちなみに午後の航行中、海上保安庁の巡視艇が近づいてきました。何事かと心配していたらスピーカーで「あと少しです、がんばってください」の声が。皆一斉に沸き立ったのは言うまでもありません。船が好きでこの道に入った人たちでしょうから、きっとこういったことは好きに違いありません。

皆オールで漕いでいる
着岸間近着岸!
オズ岸壁に接岸するあさひ丸。皆オールを持って漕いでいます。長距離の移動には人力ではさすがに不足で、帆走もあえてしないことになっていたため、曳航船が付いていましたが、このときばかりは皆体を乗り出し、必死で漕ぎました。


出航から着岸まで、全体の進行を中継スケジュールに合わせるのは少し苦労しましたが、着岸後クルーが集まり記念撮影。わかりにくいですが、最後列右から1人目と5人目がそれぞれ午後のクルー、ENO江口氏と藤村氏。

記念撮影
日が暮れてから、後片付けなどで残ったクルーや地上スタッフで再び記念撮影。日焼けで顔が赤くなっている人多数。


こうして、9時半から5時半まで続いた大阪港クルージングは終わりました。このプロジェクトには、当ENOや、主催者のカムナプロジェクト、朝日放送のスタッフはもちろんのこと、葦船の建造でリーダーシップを発揮した"帆船あこがれウィンズクラブ"のメンバーたちをはじめ、各種団体や個人など、数多くの人々が参加していました。

フジツボ等の付着で石灰化した表面。内部にはカニなども生息。 大勢の人が情熱を傾けたあさひ丸は、その後南港での一般公開や住吉大社神輿洗い神事に参加するなどの活躍をしました。葦船は、まさに自然環境の縮図とよべるものです。台風の接近等により、夏にあさひ丸の陸揚げが1ヶ月以上できずに、海水につかっていたことがありましたが、引き上げてみると、フジツボ、カキ、イガイの仲間や、ゴカイ、カニなど非常に多くの生物が住み着いて、さながら「ビオトープ」のようになっていました。

このプロジェクトは環境をテーマとして行われたものであり、あさひ丸に使われたヨシは、紙や堆肥として再利用することが最初から決まっていましたので、翌年1月15日に大阪北港ヨットハーバーで解船式を行い、最終的に解体されました。船骨や什器なども神戸のパピルス船建造のプロジェクトに譲渡され、完全に有効活用されました。龍頭は朝日放送で保管されています。

※カムナプロジェクトをルーツとした団体に、葦を通じた環境保全や環境教育を行う「NPO法人アカルプロジェクト(旧 NPO法人カムナプロジェクト)」と、太平洋横断の冒険を目指す「カムナ葦船プロジェクト」があります。お問い合わせ先の間違いがあるそうですので、ご注意ください。
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